全時間枠の転帰データ取得は99.2%。
[治療群別の時間と転帰の関係]
3ヵ月後のmRSスコアは,血管内血栓除去術群2.9 vs 薬物治療群3.6。血栓除去術群での3ヵ月後のスコア改善の共通オッズ比(cOR)は2.49(95%信頼区間1.76-5.53),絶対リスク差(ARD)は38.1%(P<0.001)。
血栓除去術群では発症から動脈穿刺までの時間が遅いほど障害度が高かったが,薬物治療群では時間による違いはみられなかった。血栓除去術群のmRSスコア改善のcORは,3時間2.79(1.96-3.98)・ARD 39.2%,6時間1.98(1.30-3.00)・30.2%,8時間1.57(0.86-2.88)・15.7%。機能的自立(mRS 0-2)も同様の結果であった(オッズ比[OR]2.83・ARD 23.9%,2.32・18.1%,2.03・14.3%)。血栓除去術群で有意な有効性が認められたのは,7時間18分(7.3時間)までであった。
発症からED到着までの時間は結果に影響を及ぼさなかったが,ED到着からランダム化・動脈穿刺・再灌流までの時間が長くなるほど血栓除去術群の有効性は低下した。
良好転帰(mRS 0-1),症候性頭蓋内出血,重大な脳実質内血腫については時間の影響はみられなかった。
[再灌流までの時間と転帰の関係]
血栓除去術群での動脈穿刺施行は607例(95.7%;発症から穿刺までの時間の中央値238分),血栓除去施行は563例(88.8%),うちmTICIスコア取得例は549例で,再灌流達成(mTICI 2b・3)は390/549例(71.0%;再灌流まで301分)。
発症から再灌流までの時間は3ヵ月後の障害度と関連(1時間遅れるごとのmRS改善のcOR 0.84;0.76-0.93,ARD -6.7%;9分遅れるごとに治療患者100例のうち1例のmRSスコアが≧1悪化)。3ヵ月後の機能的自立も時間の遅れに伴い低下した(再灌流まで180分:64.1%,480分:46.1%;1時間遅れるごとのcOR 0.81;0.71-0.92,-5.2%)。
ED到着から再灌流までの時間も障害度と関連(4分遅れるごとに治療患者100例のうち1例の障害度が悪化)。また,3ヵ月後の機能的自立例はED到着から再灌流まで,脳画像診断から再灌流までの時間が早いほど多かった。
死亡,症候性頭蓋内出血,重大な脳実質内血腫は再灌流までの時間の遅れとは関連しなかった。
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