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 AHA2003  UP
第76回米国心臓協会学術総会がオーランド(フロリダ州)で開催されました。
ここではAHAで発表されるLate Breaking Clinical Trialsとして発表される全トライ アルの簡略な紹介とともに,特に注目すべきトライアルの詳細な報告を掲載。

AHA2003

掲載トライアル
ACTIF in CHFAntiarrhythmic Effect of PUFAAutologus Bone Marrow Cell TransferBRAVEDEFINITEEXPEDITIONHDOMORBITPADPAPABEARPREVEND ITPRIMO-CABGREVERSALDetailsSPORTIF VDetailsVALIANTDetailsWITTI Woman

Nov. 9 Late Breaking Clinical Trialsより

HDOM Heart Disease on the Mend UP
多因子リスク低下プログラムが心血管疾患高リスクでありながら十分な医療を受けられない者のリスクを有意に低下。
無作為割付け,多施設,intention-to-treat解析148例:35〜80歳,Santa Clara County在住で医療サービスに恵まれないもの(健康保険や,一連の医療ケア・予防を行うために十分な収入がない例など),CVDの臨床症状の有無に関わらず重大な心血管疾患リスクを1つ以上有する例。平均年齢59歳,女性57%,ヒスパニック57%,白人16%,アジア人10%,アフリカ系アメリカ人7%,冠動脈心疾患既往25%,空腹時血糖値(FBG)>110mg/dL 66%治療(T)群(99例):医師主導の看護師と栄養士によるライフスタイル指導や健康管理を含めたケースマネジメントを実施,通常ケア(UC)群(49例)追跡期間は1年追跡率は91%。次の危険因子がT群で抑制された:LDL-C;T群103mg/dL vs UC群116mg/dL(p<0.01),総コレステロール/HDL-C比;4.2 vs 4.8(p<0.001),トリグリセリド;174mg/dL vs 193mg/dL(p=0.06),FBG;124mg/dL vs 142mg/dL,血圧;128/77mmHg vs 137/81mmHg(収縮期p<0.001,拡張期p<0.01),身体活動スコア;7.9 vs 11.6(p=0.02),栄養状態スコア;13.0 vs 14.7(p=0.02)。
presenter:William Haskell, PhD(Stanford University, US)

BRAVE Bavarian Reperfusion Alternatives Evaluation UP
PCI(primary coronary intervention)施行予定の急性心筋梗塞(AMI)患者において,reteplase+abciximabの前投与は梗塞サイズ抑制でabciximab単独投与を凌げなかった。
PROBE(Prospective, Randomized, Open-label, Blinded-Endpoint)253例;ST上昇AMI発症から12時間以内の入院例;血栓溶解療法,GP IIb/IIIa受容体拮抗薬に禁忌でないもの血栓溶解薬reteplase+GP IIb/IIIa受容体拮抗薬abciximab:R+A群(125例):半用量(5Uを2回ボーラス投与)reteplase+abciximab 0.25mg/kgをボーラス投与後0.125μg/kg/分を12時間注入,abciximab単独:A群(128例)74%がinterventionの設備のない施設でランダム化され,平均39kmの所にあるPCIセンターに搬送された。92%がステント施行。梗塞サイズ(左室に占める割合)はR+A群13%,A群11.5%(p=0.81)。30日以内の死亡は両群各2例,死亡+心筋梗塞再発症+脳卒中はR+A群3.2%,A群1.6%(p=0.66)。重大な出血は5.6% vs 1.6%(p=0.16)。intervention設備のない施設でランダム化された例,発症から2時間以内にランダム化された例,ランダム化からPCI施行まで>90分遅れた例でも梗塞サイズにおける併用療法の優位性は認められなかった。
presenter:Adnan Kastrati, MD(Deutsches Herzzentrium, Germany)

Antiarrhythmic Effects of n-3 Polyunsaturated Fatty Acids in Survivors of Ventricular Tachyarrhythmias UP
心室性頻拍性不整脈既往例において,n-3系の多価不飽和脂肪酸(n-3 PUFA)に抗不整脈効果は認められず。
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設200例;ICD植え込み例;最近の心室頻拍(VT)あるいは心室細動(VF)を発症した例。抗不整脈薬投与例なし魚油群:カプセル中にn-3 PUFA 1.8g ,EPA 42%,DHA 30%,プラセボ群:オリーブオイルのカプセル。電気生理検査サブグループ(49例):心室有効不応期,VTあるいはVFの誘発性,除細動閾値を検討追跡期間は2年魚油群で赤血球膜のn-3 PUFAレベルが,試験開始時には赤血球脂肪酸の4.7%であったが,3ヶ月後には8.3%に有意に上昇した(p<0.001)。プラセボ群では有意差はなかった(4.5%→4.6%)。n-3 PUFAレベルは両群とも3〜24ヶ月安定していた。魚油群はVT/VFの発症率が高い傾向にあった(6ヶ月後,1年後,2年後の発症率は47% vs 36%,51% vs 41%,66% vs 60%,p=0.19)。VT発症後に試験を開始した例では魚油群でVT/VFの発症率が有意に上昇した(p=0.007)。n-3 PUFAが最大値のものがVT/VFの発症率が最も高い傾向にあった。イベント再発までの時間の解析によると,魚油群はプラセボ群より有意にイベント発症率が高かった(p<0.01)。サブグループ:電気生理検査のパラメータに差はなかった。
presenter:Merritt Raitt, MD(Oregon Health & Science University, US)

WITTI Women Secondary Prevention Beyond Hospital Walls Intervention Trial In Women UP
女性の冠動脈心疾患例において,システマチックな介入による二次予防効果は認められなかった。
無作為割付け,多施設304例:冠動脈心疾患による入院女性例;急性冠症候群,狭心症,血行再建術施行例。平均年齢62.3歳;少数民族52%体系的介入(systematic intervention:SI)群:AHAの二次予防目標の遵守率を上げるよう,ライフスタイル,危険因子管理のカウンセル,心臓リハビリテーションプログラムへの登録の援助,入院中の予防治療(目標:禁煙,体重コントロール,身体活動,血圧<140/90mmHg,LDL-C<100mg/dL,aspirin/抗凝固薬の投与,β遮断薬,ACE阻害薬の投与),退院後定期的な連絡 vs 通常治療(UC)群追跡期間は6ヶ月両治療群間に有意差は認められなかった。目標達成率にも差はなし。ライフスタイルの遵守率<20%,LDL-C<100mg/dLに達したのは両群とも60%未満。SI群で少数民族の目標血圧達成率は通常治療の2..4倍であった。
presenter:Lori Mosca,MD(Preventive Cardiology New York Presbyterian Hospital, US)

Nov. 10 Late Breaking Clinical Trialsより

PRIMO-CABG Pexelizumab for the Reduction of Infarction and Mortality in Coronary Artery Bypass Graft Surgery UP
CABG施行例において補体C5に対するモノクロナール抗体pexelizumabは30日後の死亡+心筋梗塞を抑制。
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設3099例:弁置換術の有無を問わないCABG施行例pexelizumab群(1546例),プラセボ群(1553例)一次エンドポイント(CABGのみ弁置換術なし群2746例における30日後の死亡+心筋梗塞)は両群間に有意差なし(9.8% vs 11.8%,p=0.069)。pexelizumab群 vs プラセボ群ではpexelizumab群で有意に低下(p=0.03)し,4日後のCABGのみ例のpexelizumab群 vs プラセボ群でも有意に低下(p=0.014),全体でも有意に低下した(p=0.008)。全体では死亡はpexelizumab群で低下の傾向にあった(p=0.096)。有害事象の発生率は85.5% vs 85.2%でpexelizumabは忍容性も良好。  →文献情報
presenter: Edward D. Verrier, MD(University of Washington School of Medicine, US)

VALIANT Valsartan in Acute Myocardial Infarction Trial UP
心不全や心機能障害を合併した急性心筋梗塞後の患者において,死亡抑制はAII 受容体拮抗薬valsartanとACE阻害薬captoprilは同等であったが,併用投与により有害イベントが増加した。→詳細情報 →文献情報
presenter:Marc A. Pfeffer, M.D., Ph.D.(Brigham & Women’s Hospital, US)

ACTIV in CHF Acute and Chronic Therapeutic Impact of a Vasopressin 2 Antagonist in Congestive Heart Failure UP
うっ血性心不全患者において,標準治療+バソプレッシン2受容体拮抗薬tolvaptanにより,急性期の体重が有意に低下し,慢性期の心不全悪化はプラセボ群間に有意差なし。
無作為割付け,治療対照,二重盲検,多施設(アメリカ34施設,アルゼンチン11施設),intention-to-treat解析320例:18歳以上;心不全による入院患者;EF<40%;除外基準は<30日の心筋梗塞あるいは<60日の心臓外科術,収縮期血圧<110mmHgなど。平均年齢61.5歳,平均EF 24%,糖尿病が約50%,心房細動30%以上,利尿薬投与例97%,ACE阻害薬80%,digoxin 70%,β遮断薬40%入院から72時間以内に次の4群にランダム化。バソプレッシン2受容体拮抗薬tolvaptan(TLV)30mg/日群(78例),60mg/日群(84例),90mg/日群(78例),プラセボ群(80例)。それぞれ標準治療に試験薬を追加し60日間経口投与追跡期間60日急性期の一次エンドポイントである24時間後の体重低下は,プラセボ群に比べ全TLV群で有意に低下(2.0kg vs 0.9kg,p=0.0003)。慢性期の一次エンドポイントである60日後の心不全の悪化は,治療群間に有意差は認められなかった。全死亡は5.4% vs 8.7%(p=0.18)。低ナトリウム(<136mEq/L)血症,BUN(尿素窒素)>29mg/dL,重篤なうっ血での死亡率は各13.2% vs 18.7%,9.1% vs 20%,5.5% vs 17.8%で死亡抑制の傾向が認められた。TLVの死亡に関する有効性を検討するEVEREST(Effects of Vasopressin antagonists in hEart failuRE:outcome Study with Tolvaptan)試験が進行中である。 →文献情報
presenter:Mihai Gheorghiade, MD(Cardiology Clinical Service, Northwestern University Feinberg School of Medicine, US)

Randomized-Controlled Clinical Trial of Intracoronary Autologous Bone Marrow Cell Transfer Post Myocardial Infarction UP
冠動脈経由骨髄細胞移植は安全で,心筋梗塞後の左室機能を改善。
無作為割付け60例:primaryあるいはrescue PCIが成功した急性ST上昇梗塞冠動脈経由自己由来骨髄細胞移植(BMC)群(30例),対照群(30例)6ヵ月後,左室機能はBMC群で対照群に比べ有意に改善した(改善率6.7% vs 0.7%,p<0.01)。不整脈の発生はなかったBMC移植は虚血部位の退縮,心筋の再生に有効だと思われる。
presenter: Helmut Drexler, MD(Cardiovascular Division Hannover Medical School, Germany)

Nov. 11 Late Breaking Clinical Trialsより

SPORTIF V Stroke Prevention Using the Oral Thrombin Inhibitor Ximelagatran in Patients with Nonvalvular Atrial Fibrillation V UP
高リスクの心房細動患者において,経口直接トロンビン拮抗薬ximelagatranは,warfarinと同等あるいはそれ以上に脳卒中および全身塞栓症を抑制した。 →詳細情報  →文献情報
presenter:Jonathan L. Halperin, MD(Mt Sinai School of Medicine, US)

ORBIT Outcome of Hospital Rectilinear Biphasic Investigational TrialUP
院外心停止の除細動適用例において,二相性の除細動は単相性の除細動に比べ優位性を示せず。
無作為割付け,エンドポイントの評価はアウトカム評価委員会によりグループをマスク436例:心室細動(VF)/心室頻拍(VT)を有している院外心停止例。平均年齢67歳,男性72%救急隊員による二相性の除細動(120J,150J,200J)群(218例)と従来法の単相性除細動(200J,300J,360J)群(218例)1回の放電で除細動に成功したのは二相性で31%,単相性で25%,1〜3回の放電での成功率は各54%,45%(放電後5秒でコンバージョン成功)で有意差はなかった。有意差が認められたのは放電量が最大のときの成功率(22% vs 14%, p=0.02)。しかし生存率は,救急病棟到着時(57% vs 56%),24時間後(23% vs 21%),退院時(7% vs 6%)で有意差なし。脳機能カテゴリーの"good"は二相性で13%,単相性で9%。
presenter:Laurie J Morrison, MD (University of Tront, Canada)

PAD Public Access DefibrillationUP
一般の人が自動体外式除細動器(AED)による救命トレーニングを行ったコミュニティで,心肺蘇生術(CRP)トレーニングのみと比較して病院外心停止の生存率が2倍に。
無作為割付け,community-based study,多施設(アメリカ21ヶ所,カナダ3ヶ所)993コミュニティ:病院外心停止の年間発生リスクが50%程度である商店街(24%),遊休施設(24%),住宅地(15%),娯楽複合施設(9%),コミュニティセンター(7%),オフィス街(7%),ホテルなど(14%)。医療専門家でない救命ボランティア19762例を登録CRP群(497コミュニティ): CRPトレーニングのみ,CRP+AED群(496コミュニティ):CRPとAEDの使用をトレーニング。サブグループ:住宅地 vs 公共施設平均追跡期間は21.5ヶ月1コミュニティあたりの平均ボランティア数は17.5人 vs 23.0人(p=0.001)。一次エンドポイント(病院外心停止から蘇生し,退院した症例数)はCRP群15例,CRP+AED群29例と,CRP群で有意に少なかった(p=0.042)。不適切な除細動はほとんどなく,有害事象に両群間差はなかった(0.2% vs 0.3%)。病院外心停止はCRP+AED群で多く発生 [103例(0.118/コミュニティ/年) vs 129例(0.138/コミュニティ/年)]:うち公共施設での発生:69例 vs 96例,住宅地:34例 vs 33例と公共施設での発生が多かったことに起因していた。住宅地での蘇生成功率は3%未満(各群ともに1例)。イベント発症の患者背景に差はなかった:年齢;72歳 vs 69歳,男性;65% vs 70%,屋内での発症;82% vs 76%,停止時に座位でなかった例;ともに66%,目撃者あり;68% vs 76%,初期のリズム:心室細動;47% vs 39%。 →文献情報
presenter:Joseph P. Ornato, MD(Virginia Commonwealth University, US

DEFINITE Defibrillators in Non-Ischemic Cardiomyopathy Treatment EvaluationUP
非虚血性拡張型心筋症による重症左室不全患者において,標準治療+ICDは全死亡抑制の傾向。
無作為割付け,多施設458例:非虚血性拡張型心筋症,EF<36%,特発性心室期外収縮あるいは非持続性心室頻拍。平均EFは21%標準治療(ACE阻害薬,β遮断薬を含む)+ICD植え込み群(229例),標準治療のみ群(229例)平均追跡期間26ヶ月一次エンドポイントである全死亡は標準治療+ICD群(23例)は標準治療のみ群(33例)に比べ少なかった(ハザード比0.66,p=0.06)。2年死亡率は8.1% vs 13.8%。心停止による不整脈死は3例 vs 11例(ハザード比0.26,p<0.05)。サブグループ(NYHA III度の心不全)において全死亡が有意に低下(相対リスク0.34)。 →文献情報

Nov. 12 Late Breaking Clinical Trialsより

EXPEDITION Effects of Na+/H+ Exchange Inhibition (NHE-1) by Cariporide on Death and Non-Fatal Myocardial InfarctionUP
CABG施行の高リスク例においてNHE-1阻害薬cariporideは心筋梗塞を抑制したものの死亡は増加。
無作為割付け,プラセボ対照5770例:周術期心筋虚血の危険因子を有するCABG施行例Na+/H+交換系阻害薬cariporide(CAR)群(例):施行前に180mg/時を静注後,40mg/時を24時間,その後20mg/時を24時間静注,プラセボ群(例)追跡期間は6ヶ月5日後の死亡+心筋梗塞(MI)はCAR群16.6%,プラセボ群20.3%(相対リスク低下18.28%,p=0.0002),6ヵ月後も低下が維持(20.2% vs 23.9%,15.72%の低下,p=0.0005)。5日後の死亡率は両群で上昇(2.2% vs 1.5%,相対リスク上昇53.5%,p=0.028)。しかし対照的にMIは低下(14.4% vs 18.9%,リスク低下23.81%,p=0.000005)。この差は6ヵ月後も継続した(13.8% vs 18.5%,リスク低下25.58%,p=0.00001)。全体の脳血管イベントのリスクは4.8% vs 2.75%でCAR群で有意に上昇した(p<0.001)。
presenter: Robert M. Mentzer, Jr., MD(University of Kentucky, US)

PAPABEAR Prophylactic Amiodarone for the Prevention of Arrhythmias that Begin Early After Revascularization, Valvular Repair or Replacement UP
血行再建術,弁置換術例において,周術期の抗不整脈薬amiodarone投与は術後の心房細動を有意に抑制。
無作為割付け,プラセボ対照601例:待機的CABG,弁形成/置換術施行予定例平均年齢は61歳,男性約80%,冠動脈疾患;amiodarone群75.2%,プラセボ群74.1%,高血圧既往(52.2% vs 53.2%),糖尿病既往(25.4% vs 20.6%),心不全既往;ともに24.7%。サブグループ:>65歳 vs 65歳以下,CABGのみ vs CABG+弁形成/置換術,β遮断薬術前投与 vs 非投与amiodarone群(299例):10mg/kg/日を術前6日間,手術当日,術後6日間投与,プラセボ群(301例)一次エンドポイント[術後6日間に発症の治療を要する心房細動(AF)>5分]はamiodarone群でプラセボ群に比べて有意に抑制(16.1% vs 29.6%,ハザード比0.48,p<0.001)。 サブグループにおいても同様の有効性がみられた。AF発症例の心室応答はamiodarone群でプラセボ群に比べて遅延(105拍/分 vs 131拍/分,p<0.001)。有害事象によるfull-dose投与中止例はamiodarone群で多かった(11.4% vs 5.3%,p=0.02)。術後合併症,院内死亡率に両群間に有意差はなし(9.4% vs 11.3%,2.3% vs 3.3%)。術後の入院期間はamiodarone群でプラセボ群に比べて短縮傾向にあった(8.2日 vs 8.9日,p=0.11)。 →文献情報
presenter:L. Brent Mitchell, MD(Libin Cardiovascular Institute of Alberta, Canada)

REVERSAL Reversing Atherosclerosis with Aggressive Lipid Lowering UP
HMG-CoA reductase阻害薬atrovastatinによる強力な脂質低下療法は,アテローム性動脈硬化の進展を抑制 →詳細情報 →文献情報
presenter:Steven Nissen, MD(Cleveland Clinic Foundation, US)

PREVEND IT Prevention of Renal and Vascular Endstage Disease Intervention TrialUP
微量アルブミン尿を有する非高血圧・高脂血症例において,ACE阻害薬fosinoprilは有意に降圧し心血管合併症を抑制し,HMG-CoA reductase阻害薬pravastatinは有意に脂質を低下したが合併症は抑制せず。
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,2×2 factorial,単施設864例:オランダのGroningenの居住者で微量アルブミン尿を有する非高血圧・高脂血症;28〜75歳;24時間アルブミン排泄量比15〜300mg;血圧<160/100mmHgで降圧薬非投与;総コレステロール(TC)<308mg/dL[心筋梗塞(MI)既往は<193mg/dL]で脂質低下薬非投与。平均年齢51歳,男性65%。fosinopril vs プラセボ(fosinopril群:BMI>30は14.6%,TC 224mg/dL,血圧129/76mmHg,糖尿病2.1%,アルブミン尿23.7mg/日,イベント既往4.0%,プラセボ群:18.6%,220mg/dL,130/76mmHg,2.8%,21.7mg/日,2.3%)。pravastatin vs プラセボ(pravastatin群:15.5%,224mg/dL,131/77mmHg,2.6%,22.2mg/日,2.1%,プラセボ群:17.8%,220mg/dL,130/76mmHg,2.3%,23.5mg/日,4.2%)ACE阻害薬fosinopril群(425例):20mg vs プラセボ群(429例),HMG-CoA reductase阻害薬pravastatin群(427例):40mg vs プラセボ群(427例)追跡期間は4年3ヶ月後fosinopril群の血圧は-5.13/-4.28mmHg,プラセボ群は+2.10/-0.33mmHg(p<0.05),pravastatin群のTCは-43.24mg/dL,LDL-Cは-45.56mg/dL,プラセボ群は-2.32mg/dL,-8.11mg/dL(p<0.05)。尿中アルブミン量は3ヵ月後fosinopril群で29.5%,4年後31.43%と有意に低下したが(p<0.001),pravastatin群の低下は3.12%,1.85%であった。プラセボ群に比べfosinopril群は一次エンドポイント[心血管死,心血管合併症による入院,末期腎症(ESRD)]の相対リスク(RR)が44%低下[調整後ハザード比(HR)0.53,p<0.05]。個々のイベントでは脳卒中のHRが0.1で有意に低下した(p=0.028)。同薬は尿中アルブミン量>50mg/日群の心血管イベントリスクを抑制した。pravastatin群はプラセボ群と比べ一次エンドポイントのRRが25%低下(HR 0.75,p=0.35),個々のイベントではMIのHRが0.33と有意(p=0.03)であった。ESRDの発症はなかった。 →文献情報
presenter:Folkert W. Asselbergs, MD and Wiek H van Gilst, MD(University of Groningen, The Netherlands)


 ESC2003  UP
(欧州心臓病学会 2003.08.30-09.03・ウィーン)
 Hot Lineより

Aug 31(Hot Line−Medical treatment/ heart failure)

EUROPA European Trial on Reduction of Cardiac Events with Perindopril in Patients with Stable Coronary Artery Disease UP
心不全を伴わない低リスク冠動脈心疾患患者において,ACE阻害薬perindoprilは有意に転帰を改善
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設,intention-to-treat解析12,218例:平均年齢60歳・男性85%・心筋梗塞既往65%・血行再建術既往55%・抗血小板薬投与率92%,β遮断薬62%,脂質低下薬58%perindopril群(6110例):8mg/日,プラセボ群(6108例)平均追跡期間4.2年一次エンドポイント(心血管死,非致死的心筋梗塞,心停止からの蘇生)はperindopril群488例(8%),プラセボ群603例(10%)とperindopril群で相対リスクが20%低下(95%信頼区間9−29,p=0.0003)。同群の有効性はサブグループ,二次エンドポイント(全死亡,不安定狭心症による入院など)でも同様であった。
4年間の主要心血管イベントのNNTは約50人。 →文献情報

CHARM Candesartan in Heart Failure Assessment of Reduction in Mortality and Morbidity UP
EF≦40%の慢性心不全患者において,現行心不全治療薬+AII受容体拮抗薬candesartanは心血管死および心不全による入院を有意に抑制。
CHARM-Overall programme:無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(26か国618施設),intention-to-treat解析7599例:18歳以上;EF≦40%でACE阻害薬不忍容例あるいは投与例,EF>40%の慢性心不全(CHF)。ACE阻害薬投与例(candesartan群41.4%,プラセボ群40.9%)・β遮断薬(55.3%,55.3%)・利尿薬(82.8%,82.6%)・spironolactone (16.9%,16.6%)・digoxin(42.7%,43.0%)・Ca拮抗薬(20.2%,20.4%)candesartan群(3803例):4mgあるいは8mg/日で投与開始し 32mg/日まで漸増投与,プラセボ群(3796例)追跡期間37.7か月(中央値)一次エンドポイント(全死亡)は886例(23%) vs 945例(25%):調整後ハザード比0.90,p=0.032。CHARM試験を構成する3試験の結果:CHARM-Alternative trial(単独投与試験);EF≦40%でACE阻害薬不忍容例(candesartan群1013例,プラセボ群1015例)・33.7か月追跡・一次エンドポイント(心血管死+CHFによる入院)[334例(33%) vs 406例(40%):0.70,p<0.0001]とcandesartanが有意に抑制。CHARM-Added trial(併用投与試験):EF≦40%でACE阻害薬投与例(1276例,1272例)・41か月追跡・一次エンドポイント[483例(38%) vs 538例(42%):0.85,p=0.010 ]candesartanが有意に抑制。CHARM-Preserved trial(EF保持試験):EF>40%・36.6か月追跡・一次エンドポイント[candesartan群333例(22%),プラセボ群366例(24%)(0.86,p=0.051)]とcandesartanが抑制の傾向。 →文献情報


 ACC2003  UP
米国心臓病学会2003.3.30〜4.2 シカゴ

March 31 Late Breaking Clinical Trials

TWA-CHF T Wave Alternans in Congestive Heart Failure UP
うっ血性心不全患者において,T波交互脈(TWA)は死亡の強い予測因子である
多施設542例;18歳以上;洞調律;EF≦40%;男性71%・虚血性心筋症47%,大半が非虚血性特発性拡張型心筋症を有す・平均EF 25%・NYHA II度52% ・III度28%・糖尿病30%・心筋梗塞既往43%・CABG既往26%・β遮断薬78%,ACE阻害薬92%TWA testの定義は,陽性:心拍数≦110/分で1.9μV以上の持続的TWAの出現,陰性:TWAが出現しない最大心拍数が105/分以上,保留:その他すべて中間報告(一次エンドポイントは不整脈死あるいは非致死的心停止。今回の発表は二次エンドポイントの結果):平均追跡期間12.2ヶ月で全死亡が20例,2年生存率が93%。TWA test陽性例30%,陰性例34%,保留例36%。2年後の死亡率は陰性例で1%,陽性例で11%,保留例で9%。TWAは死亡の予測因子で,左室駆出分画および心疾患の病因とは独立している。
サブ解析:MADIT I試験登録基準に合致し,EF≦30%の虚血性ミオパチー例の2年生存率は93%でMADIT IIの結果より高かった。MADIT II登録基準に合致した陽性例の死亡率は15%,陰性例では0%であったことから,TWA test陽性例はICDによる死亡を抑制できる可能性が示唆される。
presenter:Bloomfield DM,MD(Columbia University College of Physicians & Surgeons, US)

EPHESUS Eplerenone Post-Acute Myocardial Infarction Heart Failure Efficacy and Survival Study UP
急性心筋梗塞後の左室機能不全患者において,選択性アルドステロン拮抗薬eplerenoneは全死亡を抑制
無作為割付け,プラセボ対照6632例;急性心筋梗塞後3〜14日,EF≦40%,心不全;肺ラ音,胸部X線写真による肺うっ血,あるいはIII音聴取eplerenoneは25mgで投与を開始し50mgまで漸増投与(平均投与量は43mg)16ヶ月間の死亡数はeplerenone群478例,プラセボ群554例。eplerenone群で全死亡が15%(p<0.008),心血管死が17%,心臓突然死が21%それぞれ低下。同群の総入院数はプラセボ群より8%低く,心不全による入院は15%低下した。しかし,高カリウム血症が5.5% vs 3.9%と同群の方が高かった。低カリウム血症は8.4% vs13.1%。 →文献情報
presenter: Pitt B,MD(University of Michigan, US)

Transplantation of Autologous Skeletal Myoblasts in the Treatment of Patients with Postinfarction Heart Failure: One-Year Experience. UP
心不全患者において,自己骨格筋芽細胞移植は実行可能で安全
Phase I10例:ドブタミン負荷心エコー図で生存能が認められない梗塞部心筋の責任冠動脈へのCABG予定例:2枝病変7例,3枝病変3例CABG施行時にakinetic部分に筋芽細胞を注射1年後の結果: 1例が壁運動異常が見られなかった部位に心筋梗塞が新たに発症し,移植とは関連なくCABG施行から 7日後に死亡。4ヵ月後生存している9例全例でEFが改善し12ヶ月間持続した。dyskinesisを示すうち9部位のうち5部位は akinesisに,akinesis を示す10部位のうち4部位はhypokinesisへ壁運動異常が改善した。施行後早い段階で2例が持続性心室頻拍(SVT)となり全例にamiodaroneを投与,SVTの2例は2ヵ月後には投与を中止した。
presenter: Siminiak T,MD(District Hospital, Poland)

COMPANION Comparison of Medical, Resynchronization, and Defibrillation Therapies in Heart Failure UP
中等症から重症の心不全患者において,薬物療法+心臓再同期治療(CRT)は死亡および入院を抑制
無作為割付け,オープンラベル,多施設,intention-to-treat解析1600例:QRS時間>120ms,P-R間隔>150ms;NYHA III〜IV度;EF<35%至適薬物療法群(β遮断薬を3ヶ月以上投与;利尿薬,ACE阻害薬あるいはAII受容体拮抗薬,spironolactone),薬物療法+CRT群,薬物療法+CRT(ICDを含む)群に1:2:2の割合でランダム化中間報告:一次エンドポイント(12ヵ月後の全死亡+全入院)はCRT各群で19%有意に低下した。この結果を受け2002年11月に予定より早く試験は終了。CRT群では二次エンドポイントである全死亡を23.9%低下した(有意差なし)が,CRT-ICD群では43.4%有意に低下した。またCRT群では全死亡+心不全による入院を35%,CRT-ICD群では39%それぞれ低下した。 →文献情報
presenter: Bristow M,MD(University of Chicago Health Science Center, US)

UKPACE United Kingdom Pacing and Cardiovascular Events UP
高度房室ブロックを有する高齢者において,ペースメーカーのタイプは全死亡に影響せず
無作為割付け,オープン,多施設(英国の46施設)2021例:白人95%,平均年齢80歳,aspirin投与例40%,ACE阻害薬18%,利尿薬48%単腔ペーシング:VVI(心室デマンド型ペーシング) 25%,VVIR(レート応答型) 25%,二腔ペーシング(DDD)50%中間報告:5年全死亡率VVI+VVIR vs DDD:ハザード比0.96(p=0.56),VVI vs DDD:1.01(p=0.74),VVIR vs DDD:0.89(p=0.22)。しかし,VVIはDDDに比して,脳卒中,一過性脳虚血発作,血栓塞栓症のリスクを増加させることも示されたが,3年間の心不全,心筋梗塞,心房細動などの心血管イベントには差がなかった。
presenter: Toff WD,MD(University of Leicester, UK)

April 1 Late Breaking Clinical Trials

Immediate Reduction in Acute Myocardial Infarctions after the Implementation of a Comprehensive Smoke-free Ordinance UP
公共の場での禁煙条例により心臓発作による入院が有意に低下
人口26000人の町ヘレナ(アメリカ)のprimary cardiac centerにおける結果過去4年間の急性心筋梗塞(AMI)による入院記録と,条例施行から6ヶ月間を比較したところ,AMIによる入院数は約7件/月から4件以下と60%低下した(p=0.002)。喫煙禁止の効果は喫煙例で最大で心筋梗塞が4分の3低下,次いで喫煙既往例で3分の2低下,そして非喫煙例で半分に低下した。一方,禁煙地域以外の居住者にはAMIによる入院数に有意な変化はみられなかった。
presenter: Sargent RP,MD(St Peter’s Community Hospital, US)

ACC AMI GAP The American College of Cardiology Acute Myocardial Infarction Guidelines Applied in Practice UP
GAP(Guidelines in Applied in Practice)実施により,急性心筋梗塞(AMI)患者のケアのクオリティが改善
心筋梗塞のいかなる治療にも禁忌でない3957例:平均年齢72歳(>85歳 16%),女性47%,少数民族15%,血管形成術既往25%,CABG既往10%ミシガン州の33施設・3 projects(10施設:pilot study,5施設:phase II study,18施設:phase III study。施設は小さな地域施設から主要な中核都市medical centerおよびtertiary care medical centerと,サイズ,タイプの異なる病院)AMIで入院後,ACC(American College of Cardiology)とAHA(American Heart Association)が合同で作成したガイドライン(合併症の発症および再発予防に最も有効な薬剤・試験・ライフスタイルの変更に関し最良のエビデンスに基づく:24時間以内のaspirin,β遮断薬投与および晩期投与,禁煙カウンセリング,低脂肪分食事を強調した食事カウンセリング,LDL-C測定および管理)を遵守した群(2065例),GAP実施前群(1892例)。ACCが作成したケアツール(standard orders,医師用ポケットガイドライン,患者のinformation sheet,看護師用のクリティカル・パス,discharge contractなど)も使用GAPの実施によりaspirin,β遮断薬の投与率が上昇したが,ツール使用の場合β遮断薬の投与率はさらに上昇。死亡率が11.9%から9.1%へ低下。
presenter: Eagie KA,MD(University of Michigan, US)

A-to-Z Aggrastat to Zocor UP
非ST上昇の不安定急性冠症候群における,tirofiban,aspirinの併用治療としての低分子量heparin(enoxaparin)の有効性は非分画heparin(UFH)と同等
A-to-Z試験は,A-phase(enoxaparin vs UFH)とZ-phase(早期simvastatin治療の有効性を検討)から成るが,今回の発表はA-phaseでZ-phaseの結果は今年後半に発表予定。無作為割付け3987例enoxaparin群:12時間ごとに1mg/kg,UFH群:体重調整量を投与。治療は最大120時間。追跡期間は30日一次エンドポイント(死亡+心筋梗塞+難治性虚血)はenoxaparin群169例(8.5%),UFH群184例(9.5%)で両群間に有意差はなかった(p=0.308)。enoxaparinの有効性(絶対ベネフィット1%,相対ベネフィット12%,有意差なし)は5日後にみられ追跡期間中変わらなかった。出血率はenoxaparin群3.1%,UFH群2.2%。  →文献情報
presenter: Eagle KA,MD(University of Michigan, US)

GIPS Glucose-Insulin-Potassium Study UP
Killip分類Class Iの急性心筋梗塞患者において,GIK(グルコース・インスリン・カリウム)療法を併用した血管形成術は生存率を改善
無作為割付け,オープン,単施設922例:心臓発作例primary angioplastyにGIK注入併用群:80mmol potassium chloride in 500mL, 20% glucose at a rate of 3mL/kg/時を8〜12時間連続注入,短時間作用型インスリンを目標血糖値7〜11mmol/L達成まで連続注入,注入開始後速やかに血管形成術施行,あるいは非併用群30日死亡率はGIK併用群23/476例,非併用群27/446例でGIK群の方が低かったが有意差は認められなかった(相対リスク:RR 0.82)。入院時にKillip分類class Iだった865例ではGIK群の死亡5例,対照群18例,RR 0.28。class II(84例)例では18例 vs 9例と,GIK群で死亡率が高い傾向にあった。糖尿病例(99例)の死亡は2例 vs 6例でRR 0.31。前壁梗塞例でもGIKが有効な傾向がみられた。 →文献情報
van der Horst IC, MD(Isala Clinics, The Netherlands)

Euroinject One UP
冠動脈疾患患者において,血管内皮増殖因子(VEGF)遺伝子治療により心筋血流改善の可能性
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(6施設)80例:安定狭心症;EF≦40%,トレッドミル運動負荷試験での可逆性虚血VEGF-A165を0.5mg注入3ヵ月後74例で心筋灌流を評価。血流の改善率はVEGF群44%,プラセボ群31%で両群間に有意差はなかった(p=0.18)。しかし,参加6施設中,経心筋的血行再建術(transmyocardial revascularization)施行率の高い2施設で51% vs 25%(p=0.035)とVEGF群で有意な改善がみられた。
presenter:Kastrup J(University Hospital Rigshospitalet, Denmark)

RAVE Regional Angiogenesis with Vascular Endothelial Growth Factor in Peripheral Arterial Disease UP
虚血下肢において,アデノウイルスベクターを用いたVEGF遺伝子治療による歩行困難の有意な改善は認められず
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(米国の30施設),phase II試験105例:40〜80歳;重症心不全と同レベルの障害を有し,3分の2の症例が半ブロックの歩行が困難12週間後の歩行時間の延長は,VEGF高用量群で1.6分,低用量群で1.5分,プラセボ群で1.7分。下肢圧,QOLに関し治療群間で差はなく,治療に伴う有害事象はみられなかった。
presenter:Rajagopalan S, MD(University of Michigan, US)

April 2 Late Breaking Clinical Trials

C-SIRIUS Canadian Sirolimus-Eluting Stent in Coronary Lesions UP
ステント再狭窄高リスク病変において,sirolimus溶出ステントは標準の非被覆のステントに比べ再狭窄を有意に抑制
無作為割付け,二重盲検,多施設100例:新規単1枝病変;狭窄率>50%,<100%;安定あるいは不安定狭心症あるいは無症候性虚血;高リスク病変[小血管径(2.5〜3.0mm)のnative冠動脈内に位置する長い病変(15〜32mm)]各群50例:拡張後ステント植込み,あるいはdirectステントベースライン時の最小血管径(MLD)はsirolimus溶出ステント群0.77mm→植込み後のステント内MLD2.53mm,対照群0.82mm→2.50mm。一次エンドポイントである8ヵ月後のステント内MLDは2.46mm vs 1.50mmとsirolimus溶出ステント群で有意に増加(p<0.001)。晩期損失は0.09mm vs 1.01mm,再狭窄率は0% vs 41.9%(各p<0.001)。また病変内MLDもsirolimus溶出ステント群で有意に増加,晩期損失,再狭窄率は有意に低下した。9ヵ月後のイベントを伴わない生存率は96% vs 82%(p=0.05)。
presenter: Schampaert E,MD(Hopital Sacre Coeur de Montreal, Canada)

ASCOT-LLA Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trial−Lipid-Lowering Arm UP
コレステロールが平均値より低い高血圧患者において,HMG-CoA reductase阻害薬atorvastatin治療により心血管リスクが低下
ASCOTは降圧治療試験(新しい併用治療:Ca拮抗薬+ACE阻害薬 vs. 従来の併用治療:β遮断薬+利尿薬)と脂質低下治療試験から成るが,今回の発表は脂質低下治療試験の結果。無作為割付け,プラセボ対照10305例;40〜79歳,高血圧の他に3つ以上の心血管危険因子を有し,総コレステロール≦250mg/dLのものatorvastatin 10mg投与追跡期間は5年の予定であったが,3.3年後の一次エンドポイント(冠動脈心疾患死,非致死性心臓発作)の発生がatorvastatin群100例,プラセボ群154例と実薬群で相対リスクが36%低下し(ハザード比[HR]0.64,95%信頼区間0.50−0.83,p=0.0005),脂質低下治療の有効性が確認されたため試験は中止された。平均血圧は138/80mmHg。1年目のatorvastatin群の脳卒中のHRは0.73(p=0.024),総心血管イベントは0.79(0.0005),総冠動脈イベントは0.71(p=0.0005)であった。 →文献情報
presenter: Sever PS,MD(Imperial College School of Medicine, UK)

The St. Francis Heart Study UP
冠動脈の石灰化スコアは冠動脈疾患イベントを予測
前向き,longitudinal,population-based study5585例:無症候の50〜70歳の男女;アテローム性心血管疾患(ASCVD)の既往や症状,徴候のないもの;脂質低下療法中あるいは適応例は除く患者背景:平均年齢59歳,男性70%,総コレステロール226mg/dL,LDL-C 147mg/dL,HDL-C 51mg/dL,トリグリセリド142mg/dL,BMI 29,高血圧37%,糖尿病8%,喫煙者12%electron beam CTスキャンを実施。危険因子測定例(カルシウムスコア[CS]が高い[80 percentile以上]もの)は1817例追跡期間は4.3年。1イベント以上のASCVD発症は122例(非致死性心筋梗塞(MI)/冠動脈死43例,CABG/PTCA 62例,非出血性脳卒中5例,末梢血管術12例)。イベント発症例のベースライン時のCSは584,非発症例は142(p<0.0001)。CSが100以上の例を以下の例と比較した場合のアテローム性心血管疾患イベントの相対リスクは9.5,冠動脈イベントは10.7,MI/冠動脈死9.9。高CSと冠動脈疾患イベントとは明らかな直線関係にあった。
Presenter: Guerci AD,MD(St. Francis Hospital, US)

ARIC Atherosclerosis Risk In Communities UP
ARICはアテローム性動脈硬化の原因を検討しているケース-コホートスタディ12819例:壮年の健康な男女追跡期間6〜8年でCHDの発症609例。コホートランダムサンプルとして741例を対照とした冠動脈心疾患(CHD)例はリポ蛋白関連ホスホリパーゼ A2(Lp-PLA2)の値が高い。LDL-C低値(<130mg/dL)例では,Lp-PLA2は独立してCHDと関連し,Lp-PLA2および高感度C-Reactive Protein(hs-CRP)はCHDをそれぞれ独立して予測し,Lp-PLA2およびhs-CRPの高値例はCHDリスクが最大である。
presenter:Ballantyne CM,MD

SPORTIF III Stroke Prevention by Oral Thrombin Inhibition in atrial Fibrillation UP
非弁膜症性心房細動(NVAF)患者において,新規の経口抗凝固薬ximelagatranは脳卒中および全身性塞栓性イベントを標準薬warfarinと同等に抑制
PROBE(Prospective, Randomized, Open, Blinded-Endpoint),non-inferiority試験,多施設(欧州,アジア,オーストラリア,ニュージーランドの259施設。)3407例;1つ以上の脳卒中リスク(脳卒中既往,高血圧,うっ血性心不全など)を有する心房細動。新規治療例とwarfarin治療例の両者を登録ximelagatran群(1704例);36mg×2回/日,warfarin群(1703例);INR 2〜3(平均2.5)。平均治療期間は17ヶ月有効性の一次エンドポイント(脳卒中,全身性塞栓性イベント)はintention-to-treat解析でximelagatran群40例,warfarin群56例,on-treatment解析によるximelagatran群の相対リスク低下は41%と有意であった(p=0.018)。死亡率は両群間で差はなく,出血率はximelagatran群475例,warfarin群554例とximelagatran群で有意に低かった(p=0.007)。しかし同群で肝酵素(アラニンアミノトランスフェラーゼ)が6.5%上昇したが,これはほとんどの場合治療開始から6ヶ月以内に起こった。
presenter: Halperin J,MD(Mount Sinai Medical Center, US)

INVEST International Verapamil-Trandolapril Study UP
冠動脈疾患を有する高血圧患者において,死亡,非致死的心筋梗塞あるいは脳卒中の抑制効果はCa拮抗薬群(verapamil)とβ遮断薬群(atenolol)で同等
PROBE22576例;女性52%,アフリカ系アメリカ人16%,ヒスパニック36%目標降圧値 140/90mmHg,糖尿病あるいは腎不全の場合130/85mmHg。単剤で目標降圧値に達しない場合はverapamil群はACE阻害薬trandolaprilを,atenolol群は利尿薬hydrochlorothiazideを追加。追跡期間は2〜4年一次エンドポイント(死亡,非致死的心筋梗塞あるいは脳卒中)の相対リスク0.98で両群間に有意差なし(p=0.62)。糖尿病の発症はverapamil群で499例(6.16%) ,atenolol 群で589例 (7.29%)。死亡あるいは新規糖尿病の発症は 各971例 (11.99%),1083 例(13.4%)と,verapamil群で相対リスクが 13%低下した。
presenter: Pepine CJ,MD(University of Florida College of Medicine, US)


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